このサイトについて
1.従来の課題
ネット利用に熱中し、社会生活、人間関係、心身の健康などに支障をきたしても、「なおやめられない」いわゆる「ネット依存」が社会問題化している。スマートフォンの普及がこの問題を深刻化させており、該当者も低年齢化する傾向にある。
ネット依存の識別には、従来主に米国の心理学者キンバリー・ヤング氏が1998年に考案した8項目もしくは20項目の指標が用いられてきた。しかしこの基準は20年近く前に作られたこともあり、大きく2つの点で課題があった。
1) 頻繁にネットにアクセスするのが常態化している現在の利用習慣の中ではさほど問題とも言えないものが含まれている。
2) 従来の課題はオンラインゲームの問題や、動画、ホームページ、ブログなどのコンテンツ利用であったが、最近では友人らとのやりとりがやめられない「つながり依存」(SNS依存 きずな依存とも)が喫緊の課題となっている。しかしながら、ヤング基準ではこうしたネット依存の多様化を踏まえていないため、ネット依存のサブタイプを識別することができない。
2.目的・目標
1) 「つながり依存」識別指標の作成
  ネット依存について「つながり」「ゲーム」「コンテンツ」の大きく3つのタイプを念頭に置き、それらを同時に識別できる一群の指標を開発する。
2) 指標に基づく学習教材の開発
 上記の指標に回答することによって、「つながり依存度」「ゲーム依存度」「コンテンツ依存度」を同時に算出・表自できる学習教材を開発する。
3) 検討委員会の設置
 前記目標を実施するために有識者で構成する「オンライン・ベターライフ促進委員会」を設置した。
3.実践内容
3.1 ネット依存構成概念の整理分類
 東京大学橋元研究室(以降、橋元研と略す)のアンケート調査や他の先行研究で用いられたネット依存の指標100項目余りを意味内容に即して整理分類した。また、今回は中高生を対象者としているため、千葉大学教育学部附属中学校(以降、千葉大附中と略す)と帝京高等学校の協力を得て、生徒が考えるネット依存のイメージを洗い出し、その後KJ法を使い纏めてもらった。この作業により過去から現在に至るネット依存の構成概念がかなりの程度網羅された。
4.「つながり依存」識別指標(暫定版)
  つながり
依存度
ゲーム
依存度
コンテンツ
依存度
1. 友達からのネット上のメッセージにはどんな時でもすぐに返信する 3 0 0
2. ネットでやりとりしているとき、相手からのメッセージの返信が遅いとイライラする 3 0 0
3. 他のことをしているときでも、ネットにどんな話題を投稿しようかということばかり考えている 3 0 0
4. 友だちからのメッセージが気がかりでネットを常に確認している 3 0 0
5. 仲間はずれにされたくないので、気が乗らない時でもネットで友達とやり取りするのを止められない 3 0 0
6. ネットをしている時が一番安心する 0 3 2
7. 友だちと過ごすよりネットをしていたいと思うことがある 0 3 2
8. 外で遊んだり課外活動に行ったりするよりも、家でネットを楽しみたい 0 3 3
9.ネット上のアプリやコンテンツ(ゲーム、音楽、スタンプなど)に課金することがよくあるる 0 3 0
10.他にやるべきことがあってもネットをやめられない 0 3 3
11.ネットをしていて、気がつくとかなりの時間がたっている 2 3 3
12.現実世界の嫌なことを忘れるためにネットをしている 0 2 3
13.ネットをしている最中に邪魔されるとキレそうになることがある 0 3 0
14.起きている間中、ずっとネットをしている 1 3 3
15.誰かと話している最中でもネットをしている 3 3 2
16.風呂やトイレでもネットをしている 3 2 2
17.歩いている最中でもネットをしている 3 3 0
18.あと少しと思いながら深夜までネットをしてしまい、寝る時間が少なくなることが多い 2 3 3
19.ネットができないと不安で落ち着かない 2 3 0
20.よく「ネットのやりすぎ」と注意される 2 3 2
5.得点計算方法
1)20項目のそれぞれに「はい/いいえ」で回答。
2)「はい」と回答した項目のみ、上記表に記載した依存度を「つながり」「ゲーム」「コンテンツ」のそれぞれについて計上し、各々の合計を「基礎得点」とする。
 ※23項目すべてに「はい」と回答した場合の基礎得点は「つながり」が33点、「ゲーム」が44点、「コンテンツ」が28点となる。
3)23項目とは別にネット利用時間を
  「つながり」 (ソーシャルメディアの利用)
  「ゲーム」  (オンラインゲームの利用)
  「コンテンツ」(動画やブログ等の利用)
 それぞれについて6段階(「0分」「1~29分」「30~59分」「1時間以上2時間未満」「2時間以上4時間未満」「4時間以上」)で尋ね、0~5点の「ネット利用時間得点」とする。
4)「ネット利用時間得点」を「つながり」「ゲーム」「コンテンツ」のそれぞれについて掛け合わせ、100点満点換算する。

注:20項目の指標と別に「ネット利用時間得点」を導入するのは、指標の中には複数の依存タイプにまたがっているものが多いため、指標の回答結果だけから算出すると利用実態がないのに依存度が高くなってしまう可能性を排除できないからである。
6.依存度の算出例
1)質問への回答状況
  つながり
依存度
ゲーム
依存度
コンテンツ
依存度
1. 友だちからのネット上のメッセージにはどんな時でもすぐに返信する 3 0 0
2. ネットでやりとりしているとき、相手からのメッセージの返信が遅いとイライラする 3 0 0
3. 他のことをしているときでも、ネットにどんな話題を投稿しようかということばかり考えている 3 0 0
4. 友だちからのメッセージが気がかりでネットを常に確認している 3 0 0
9. ネット上のアプリやコンテンツ(ゲーム、音楽、スタンプなど)に課金することがよくある 0 3 0
10.他にやるべきことがあってもネットをやめられない 0 3 3
11.ネットをしていて、気がつくとかなりの時間がたっている 2 3 3
16.風呂やトイレでもネットをしている 3 2 2
18.あと少しと思いながら深夜までネットをしてしまい、寝る時間が少なくなることが多い 2 3 3
20.よく「ネットのやりすぎ」と注意される 2 3 2
基礎得点(上記項目の得点の合計) 21 17 13

2)ネット利用時間
 ・つながり…4点(2時間以上4時間未満)・ゲーム…0点(0分)・コンテンツ…4点(1-29分)
4)レーダーチャート形式での結果表示
chart
3)依存度の算出
  • つながり依存度:50点
  • ゲーム依存度: 0点
  • コンテンツ依存度:9点

7.本サイト利用上の注意
7-1.ソフトウェア等使用許諾
当サイトに掲載されているソフトウェア、指導事例集等の著作権は一般社団法人日本教育情報化振興会に帰属します。

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(1) 使用許諾条件
(a) 引用・リンクについては原則自由にできますが,原典の出所は必ず明示してください(下記参照)。ただし,リンク元のWebページの内容(公序良俗に反するサイト等)やリンク方法等によってはリンクをお断りすることがあります。

<原典の出所の明示方法>
出典:「ネット社会の歩き方」(http://www.cec.or.jp/net-walk/)

(b) 下記の場合,ソフトウェアの複製・転載を,許可・連絡無く行うことを許諾します。
(2) 禁止行為
(a) 以下の目的でソフトウェアを複製・転載する行為

(b) インターネット等で自動的に公衆に送信し得る状態におくこと(公衆送信)を目的とし,Webサーバー等へ当サイトのソフトウェアを複製・転載する行為
(3) 加工(改変)について
(a) 当サイトのソフトウェア(学習ユニット,電脳商店街)を加工(改変)し,利用する場合には加工(改変)内容を事務局に連絡し,許諾を受ける必要があります。事務局において加工(改変)内容を判断し,許可/不許可をお知らせします。

なお,加工(改変)が許可され利用する場合には,掲載箇所の最初の画面に以下のように明記してください。

<加工(改変)済みの明記方法>
「本ソフトウェアのオリジナルは,「ネット社会の歩き方」(http://www2.japet.or.jp/net-walk/)です。本サイトでは,著作元による同ソフトウェアの一部加工(改変)及び利用の許諾を取得の上,掲載しています。」

(b) 加工(改変)してインターネット等で公衆送信を行うこと,及び複製し配布することは禁止されています。

加工(改変)されたものについてインターネット等での公衆送信を希望する場合は,事前に事務局にご相談いただき,事務局が加工(改変)の意義があり,公表に適すると認めたものについては,当サイトで公表を行う,または,当サイトからリンクを貼る形で,公認サイトとして公衆送信をしていただきます。

それ以外の,私的な加工(改変)物の公表等は一切禁止します。
(4) 免責事項
7-2.学校教育現場でのご利用に際しての留意事項
当サイトでは,児童生徒がインターネット及び携帯電話を安全に活用するための考え方やノウハウを学べる教材として,開発した学習教材を中学・高校でパイロット的に利用する機会を設け、情報教育における普及を目指しております。また問題点や教育その他における活用方法についてフィードバックを得て、さらなる改善につなげることとしているため、扱う内容は必ずしも現行の学習指導要領には準じていない内容となっております。
7-3.オンライン・ベターライフ促進委員会委員名簿(敬称略、五十音順)
 顧問 赤堀 侃司 白鴎大学
 委員長 橋元 良明 東京大学
 委員 土井 隆義 筑波大学
 委員 遠藤 美季 エンジェルアイズ
 委員 小寺 信良 一般社団法人インターネットユーザー協会
 委員 三宅 健次 千葉大学教育学部附属中学校
 委員 三輪 清隆 帝京中学・高等学校

アンケート分析
  堀川 裕介 東京大学大学院
制作協力    
 事務局 株式会社ユーミックス 藤田 由美子
 事務局 株式会社工画堂スタジオ 門野 孝介
  株式会社コドモット 渡邉 純子

グループ学習用教材への指導
 委員 三宅 健次 千葉大学教育学部附属中学校
 委員 三輪 清隆 帝京中学・高等学校


本事業は競輪の補助金を受けて実施しています。
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 制作: 株式会社ユーミックス
  株式会社工画堂スタジオ

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