IT授業”実践ナビ 〜授業でITを使ってみませんか〜
English TOP トピック クレジット リンク集 ヘルプ

IT授業を実践している先生にインタビュー
富山県高岡市立福岡小学校教諭・向井康之  
聞き手:和歌山大学教育学部附属教育実践総合センター  助教授・野中 陽一 事例へ
クリックするとインタビュー動画が見られます。
 
ビデオ300k ビデオ150k
 
授業の見せ場!
デジタルカメラの活用
デジタルカメラがあれば、日ごろ何気ないところで見つけた場面や出来事を記録して、簡単に授業で使うことができます。
また実物投影機とプロジェクターを使えば、子どもたちが一つに集中して効果的に学習することができます。ぜひ使ってみましょう。
1.授業の内容について
野中: まず先生の実践ですが、「流れる水のはたらき」という単元では、どのような動画や写真を用意されたのですか。
向井: 学校の近くに川が流れていますので、その川が増水したときや、水が減っているときの様子が分かるような写真です。それから、その川ではないんですが、洪水になったときの流れの様子が分かる動画です。
▲野中先生 ▲向井先生
野中: そうですよね、子どもたちは洪水になったときに川に行くわけには行きませんから。洪水のときの動画や写真はどうされたんですか。
向井: インターネットで用意されているものをダウンロードして、プレゼンテーションソフトに張り付けました。
   
野中: 授業の内容は単元の導入ということですが、そこで動機付けとして興味・関心を持ってもらうというのが狙いですか。
   
向井: この単元は、教科書にもあるように身近に流れている川を題材にして進めていきます。子どもたちは日常的に川を見ていますが、意識的に見ているわけではありません。そこで、増水したり水が濁っているといった変化した様子を見せると、子どもたちが川をより身近に感じて意欲的になっていきます。
   
野中: 映像をみんなで見ることによって、視点をはっきりさせて学習につなげるということですね。
2.IT活用の効果
野中: ITを使ってから子どもたちの様子に何か変化はありましたか。
向井: かなり集中していましたね。やはり静止画だけだと、ああそうなのか、と見ているだけなのですが、それがいざ動き出すと驚いて見入っていました。映像を見せた後は教科書の授業や実験に進むのですが、その際も川の様子を思い浮かべながら学べるので、意欲という部分で大きく違ってくると思います。
ビデオ300k
ビデオ150k
野中: ではこの単元の狙いはほぼ達成されたということですね。
向井: この後自分たちが計画を立てた実験を行うんですけれども喜んでやっていました。また、実験のポイントに対する見方もしっかりしてきますので、あとで結果を出すのがとても簡単でした。
野中: 逆に想定外のこと、あるいは失敗だったかなと感じたことは。
向井: 時間の配分が思ったようにいかなかったことです。子どもたちが計画を立てる段階でワークシートを書くんですが、実際に思い浮かべながらやるのですごく悩むんですね。私としては、そこは早く進めたかったのですが。
野中: しかし、そこで子どもたちがじっくり考えることができたというのは結果的にはいいことかもしれませんね。授業は教室でされたのですか。
3.校内のIT環境
向井: そうです。本校では各教室にインターネットにつながっているパソコンと実物投影機がありまして、プロジェクターも学年に1台用意されています。ですから今日はITを使うよ、といえば子どもたちがに準備してくれます。
野中: それはいいですね。しかしそれは先生が実践を積み重ねてきたからでしょうね。
向井: 最初は自分でやっていたのですが、だんだんと授業が楽しくなってきたのか、早くやってくれと子どもたちが手伝ってくれるようになりました。
4.IT活用の背景
野中: ちなみに先生はいつごろからITを活用していますか。
向井: インターネットや掲示板を使い始めたのは6、7年ほど前からですが、今のように気軽に日常的に使っているのは2、3年ほど前からですね。
野中: それは何かきっかけがあったんですか。
向井: プロジェクターと実物投影機が教室にやってきたということが大きいですね。この2台があれば十分ですし、コンピュータ室に移動するよりも、教室で授業する方が集中できます。
野中: それは先生方皆さんが使っているんですか。
   
向井: まだ全員が進んで使っているという状況ではないのですが、何人かの先生は、デジカメの写真や自分で作ったプレゼンソフトの教材をテレビにそのまま映して使っています。IT機器を導入したときに、研修会で私が模擬授業をやったんですね。最初は私はコンピュータができる特別な人と見られていたのですが、何だその程度のことで使えるのかと感じてもらえたようです。
野中: ほかの方の実践事例を参考にされたことはありますか。
向井: 最初のころは授業のイメージをつかむために、いろんな方の話をお聞きし、いいものがあればそのまま真似していました。
ビデオ300k
ビデオ150k
野中: そうすると、「IT授業実践ナビ」もご覧になっていたのですか。
向井: 最初に「IT活用のポイント」がありますよね。それを見て授業の中での位置づけを考えながら使うといいのだということが分かりました。それがいちばん参考になりましたね。
5.そのほかの活用例
野中: そのほかではどんな活用をされていますか。
向井: 国語の音読では教科書の挿し絵を映して、それをバックに音読させています。あとは漢字の練習も、今はインターネットで書き順まで出てくるのがありますので、いいなと思ったらすぐに使ってみます。
野中: 使う、使わないの判断のよりどころは何でしょう。
向井: 簡単にやりたいので、あまり準備で負担のかかるものは使いません。
野中: それでも事前にあちこちで調べたりとか、手間はかかるのではありませんか。また、先生によっては自分はこういう授業をやりたいんだけど、それにぴったりなコンテンツがなかなかない、探しても時間がかかるとおっしゃる方もいます。
ビデオ300k
ビデオ150k
向井: インターネットでとれるコンテンツだけではなく、まず最初はノートや教科書を提示するだけでも違うと思います。その効果を感じると次に何が必要なのかが分かってくるのではないでしょうか。
野中: 提示をする効果というのは具体的にはどういうことですか。
向井: 単純に小さいものを大きく映すと分かりやすいということ、それからみんなが下を向かなくてよくなり、ひとつの場所に集中できるということです。
発表でもわざわざ大きい紙に書いたりしますが、ノートにきちんとまとめてさえいればそのまま写して発表できます。
野中: 学級会活動などでは。
向井: 当初はデジタルカメラに親しむ目的で、日直当番2人を担当にしてデジカメ発表を行いました。最近ではテレビにつなげたり、拡大したり、一部をぼかしたりと、相手に見せる工夫をするようになってきました。
6.先生方へのアドバイス
野中: 今後どのような場面で活用されていくお考えですか。
向井: ITを使った方が分かりやすいとか、ITを使った方が楽しいとか、日常当たり前のようにして使いたいと思っていますので、特別に意識はしていません。
野中: 最後に、これからIT活用していく先生方にアドバイスを。
向井: 繰り返しになりますが、IT活用は特別なものではないので、簡単に、気軽にできそうなことからはじめてはいかがでしょうか。プロジェクターや実物投影機で映すだけでも子どもたちの反応は違ってきます。それを繰り返していくうちに、次はこんな映像を見せたいとか、こんな事をしてみたいとか、それを組み合わせるにはどういうソフトを使った方がいいといった新しいアイデアも浮かび、だんだんステップアップしていけると思います。
ビデオ300k
ビデオ150k
野中: やはり授業が面白くないと、理解しようというとか覚えようという意欲にはつながりにくいでしょうからね。本日はありがとうございました。
Copyright : 2003-2009 Ministry of Education,Culture,Sports,Science and Technology