IT授業”実践ナビ 〜授業でITを使ってみませんか〜
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IT授業を実践している先生にインタビュー
千葉県野田市立南部中学校教諭・高木 秀人  
聞き手:獨協大学 助教授・秋本 弘章 事例へ
クリックするとインタビュー動画が見られます。
 
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授業の見せ場!
ライブカメラの活用
インターネットのライブカメラを使った授業は、今、このときの映像が見られるということが効果的だと思います。インターネットでないとできない授業ですが、逆にいえば、インターネットさえあればできるという、そういう授業になります。地球市民としての自分を意識していくには、これが一番効果的な方法だと思います。
1.校内のIT環境
秋本: この実践は2003年からとお聞きしましたが、そのころとはだいぶ環境が変わったのではないですか。
高木: 当時は教室でインターネットをするには、コンピュータ室からLANケーブルをひいてきて、そこに学校にプロジェクターをつないで、スクリーンをセットして…という形でした。今は教室にパソコンが2台置いてありますし、校内LANも引かれていますので、プロジェクターさえ持ってくればできる状態になっています。
2.ITの活用方法と効果
秋本: 次に中身についてお聞きしたいのですが、この単元のねらいと、授業での位置づけを教えてください。
高木: 公民の教科書の一番最後になる「地球社会とわたしたち」という単元ですが、ここでは一人ひとりが広 い地球の中の一員である、ということを意識して、地球的な課題の解決に努力しようとする資質を養うことをねらいにしています。
秋本: IT活用というとコンピュータだけのようなイメージがあるのですが、先生は一番最初に地球儀を使っていますよね。私はこのことに感心しているんですが、その理由は。
高木: 地図だけですと、どうしても平面的になってしまうのですが、地球儀であれば昼、夜といろんな地域があって、それでも世界は一つであるということがひとめでつかめるということで利用しています。
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秋本: その後がITを活用したライブカメラですね。これはあらかじめ先生が選んでいるのですか。それとも生徒たちに探させているのですか。
高木: 子どもたちはライブカメラを見ること自体が初めてなので、こちらであらかじめねらいに合うような場所を選択しました。このときは、学校のすぐ近く、あとは渋谷、ニュージーランド、ロンドン、ニューヨークの5カ所です。
秋本: ライブカメラを見たときの生徒たちの反応はどうでしたか。
高木: こちらの意図以上にに驚いていました。昼間の映像がでてくるのは当たり前なんですが、ニューヨークは夜の映像が出てきますし、夜中なのに人がたくさんいる、といったことに驚きを感じたようですね。
秋本: 今までの写真や資料ですと、リアルタイムではないですからね。
   
高木: ライブカメラですと、今、この時点で何をしているのかをつかめます。これはインターネットがなければできないことですね。
秋本: インターネットを使ったことによって、今回の授業の目標は達成できましたか。
高木: 導入の部分で使ったのですが、それまでは写真や資料を使っていろんな国があるんだよ、その中で生きているんだよと教えても、よその国の出来事、自分とは関係ないと感じていたようです。しかし実際に、今現在動いている映像を見ることで、その中に自分も生きているんだということが実感として味わえる。導入としては非常に効果的だったと思います。
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秋本: 公民の分野ではこれ以外にどのような使い方をされていますか。
高木: 公民では今の世の中の出来事を見せることが多いので、国会中継も見せますし、株の取引、銀行の仕組みなど、動きのあるもので使うことが多いですね。
秋本: 映像を拝見すると、生徒が生き生きしている様子が分かりますが、逆にITを使って失敗だったかな、という場面は。
高木: やってみて分かったのですが、回線の遅さや、ライブカメラですと見せようと思ったときに映像が出てこなかったりと、どうしても待ち時間ができてしまうことがあるので、事前の準備の大切さは実感しました。
秋本: ほかの先生が授業で使われているケースは。
高木: 社会科が一番多いのですが、それ以外でも技術・家庭科は当然のこと、数学や理科などいろんな教科で使われています。ただ、ITはあくまでもツールの一つです。それを間違えてしまうと、使わなくてはいけないとか、使えば何とかなるだろうということにもなりかねません。自分が授業のアイデアを作るなかで、ここはITを使った方がいい、使わない方がいいという取捨選択は必要だと思います。
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3.IT活用の背景
秋本: IT活用の背景についてお聞きしたいのですが、先生はいつ頃から取り組んでいるのですか。
高木: 5、6年前から使うようになったと思います。
秋本: 何かきっかけはございますか。
高木: 最初のきっかけは、もっとさかのぼって阪神・淡路大震災のときです。当時はまだパソコン通信だったのですが、それを使って現地の人たちが何が欲しいと発信してくる。その内容を掲示をして募金を集めるときの資料に使ったんですが、子どもたちが非常に関心を持ってくれた。そのときですね、インターネットやパソコンの可能性を感じたのは。その後、インターネットが普及して当たり前のように使われるようになったことも大きかったですね。
4.授業以外での活用例
秋本: では、コンピュータそのものというより、コミュニケーションの手段としてコンピュータが使えるようになったということが一番大きなきっかけなんですね。先生は授業以外、あるいは学級活動以外ではどの程度ITを活用していますか。
高木: 先ほどお話しした株の取引は公民でも取り上げるのですが、取引をする時間は授業の中では十分にとれません。しかし子どもたちは休み時間に株の取引をしたり、その際も取引画面だけではなく、株価や会社情報の画面を切り替えながら自由に使っています。また教室の掲示物なども、子どもたちに頼めば作ってくれます。
▲秋本先生 ▲高木先生
秋本: 教室にパソコンがあると、テレビゲームで遊んでいる生徒もいるのではないですか。
高木: 正直なところ当初はゲームばかりだったんですけれども、そこでダメと言わずに、ほかの使い方があるんじゃないかということと、それにかかわるツールをいくつか入れたところ、子どもたちの使い方が変わっていきました。
秋本: なるほど。ダメと頭ごなしに否定するのではなく、望ましい方向に導いていくということですね。
5.校内研修について
高木: 2年前と3年前に夏休みを使って校内研修を行いました。それは一斉ではなく、今日は文書作成ソフトの何、表計算ソフトの何というような講座制にして、自分の興味のあるところを取れるようにしました。そうしたところ、今年度は講座の必要がないレベルまで全員のスキルが上がりまして、日常業務や通知票などでもITを導入して事務作業を楽にしています。
6.先生へのアドバイス
秋本: ITを活用していく上で、初心者の先生にアドバイスをお願いします。
高木: 事務処理でも何でもいいのですが、使ってみて楽だった、じゃあ何かに使えないだろうかと考えてみてはいかがでしょうか。例えば、今までは地球儀を使っていたけれども、もっと動かす方法はないだろうかとか、紙芝居よりももっとうまく動画にできないかと考えたときに、道具の一つとして考えれば簡単に使えるのではないかと思います。
秋本: 普段の授業の延長にITがある、という感覚ですね。
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