IT授業”実践ナビ 〜授業でITを使ってみませんか〜
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IT授業を実践している先生にインタビュー
沖縄尚学高等学校教諭(現立命館中学・高等学校教諭) ・上杉 兼司
聞き手:日本福祉大学メディア教育センター副センター長  教授・影戸 誠 事例へ
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授業の見せ場!
ビデオカメラの活用
この実践は、ビデオカメラとプロジェクターをつなげるだけという非常に簡単なものです。それにもかかわらず、生徒の視線が前に集まるために、生徒たちがちゃんと理解しているかどうかが一目瞭然で分かります。
いろいろな場面で応用できるものだと思いますので、ぜひ皆さんも活用してみてください。
1.IT活用の背景
影戸: 先生の学校では、IT授業はかなり以前から行っているとお聞きしていますが。
上杉: 学校としては1996年頃から導入しています。
影戸: それと同時に、先生と生徒のアクティビティーが非常に高いという印象があります。2005年の末には生徒を海外に連れて行かれていたとか。
▲影戸先生 ▲上杉先生
上杉: 台湾の生徒とのコラボレーションで、アジア地域の学生が集まったワークショップに参加してきました。
影戸: そういうとき事前のやりとりは、電子メールなどのITを使うのですか。
   
上杉: そうですね、電子メール、掲示板、ビデオ会議などいろんな機能を使って互いに意見や資料を交換しています。それでひとつのテーマに沿ってプレゼンテーションを進めていくという形です。
   
影戸: 国際的な活動をされているんですね。
   
上杉: アジア地域との交流も今回のプロジェクトの目的のひとつでしたし、海外で活動することで、より生徒たちの視野が広がります。
   
影戸: ITというと、授業で先生が掲示するときに使うというイメージですけれども、生徒は世界を広げるために自分でどんどん使っている感じがしますね。
   
上杉: まったくその通りだと思います。会議が終わったとも生徒たちはメールを使ってコラボレーションした海外の生徒たちと連絡を取り合ったり、写真を交換したりしています。
   
影戸: 先生の学校では、IT授業が学校教育の質を高めるという認識を教職員と生徒が共有しているような印象があるのですが、学校の中に組織的な体制があるのでしょうか。
   
上杉: マルチメディア委員会というのがありまして、その中で教科でITを活用を促進しています。各教科に1名は牽引役の先生がいて、だんたんと広がりを見せている状況ですね。
2.ITの活用方法
影戸: 今回のIT活用でいちばんびっくりしたのは、生徒がいつも前を向いて先生の表情をよく見ていることです。
影戸: 特にこの授業ではタブレットPCを持って、机間巡視をして生徒の表情を見ながら進めています。ああいう取り組みはIT活用でも非常に新しいと思うのですが、意識的に始められたことなんですか。
上杉: コンピュータを使うと、どうしてもそこに張り付いてしまうのですが、タブレットPCを使うようになってからそれを持って自由に、使わなかったときと同じように生徒の間に入って授業をすることができるようになりました。コンテンツ自体は作り込んだものが入っていますから、後はペンの操作で写真を出したり、その上に字を書いたり、線を書いたりということも簡単にできます。回ることに よって生徒の緊張感も保てますし、質問も生徒に直接発しやすいですね。
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影戸: この授業では片目では距離感がなくなることを体験させるために、まず生徒2人を前に出して体験させ、その様子をカメラで映して見えにくい後ろの生徒も見えるように映していますね。それにはどういう意図があるのですか。
上杉: この後2人1組で全員に体験させるのですが、こういう形で見せておけば実験の意味や様子をすんなり理解できますし、それを体験したときの驚きや感動も大きいようです。
影戸: 生物や理科は教科書の2、3ページ先を読んだら答えが書いてあるので覚えれば答えは書けるのですが、その場合は本当は分かっていない。こうやって、うまくITを活用すると知識が定着し、そうした理解は応用もきくんですね。
上杉: ITは、絶対使わないといけないといった気持ちが強すぎるとダメだと思っています。例えばプレゼンテーションソフトを使った授業を1時間そのまま継続したら生徒も疲れてしまうし、ノートを取るのも難しい。私の場合は黒板を使った授業をちゃんとやって、その中で生徒の理解を助けたり深めたりするために、短時間ITを活用していくという形で使っています。ですからITなしでチョーク1本で1時間授業をやれといわれれば、それはもちろんできます。
影戸: いろんな先生にお会いしましたが、チョーク1本でうまい授業をできる先生は、ITを使うともっといい授業ができるんですよね。
上杉: 授業のマネージメントができている先生は、こういうツールを取り込むのもうまいと思います。
3.IT活用の効果
影戸: 教材開発についてうかがいたいのですが、ITとアナログについて、例えばプリントなども作ると思いますが、プリントの特性とITの違いはどこにありますか。
石原: プリントをやらせると、生徒はどうしても下を向いてしまって、思い通りに動いてくれないことがあります。しかしプロジェクターに映せば生徒が全員前を向く、前を向けば説明をしながら生徒が本当に分かっているのか表情で読みとることができます。
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影戸: 学びをより深くするためには、生徒の顔を上げさせることはかなり大きな要素なんですね。最近は、例えばデジタル顕微鏡など新しいIT機器も増えていますが、何かこれまでにない取り組みはされていますか。
上杉: デジタル顕微鏡は使っています。目の前に資料があって、それが顕微鏡にセットされて、教師がピントを合わせたりレンズを交換したりしてどんどん変わっていく様子を生徒の目の前で見せることができるのは、これまでのスチール写真とは違うところですね。
影戸: ITという新しい切り口が表面的ではなく、学びに感動を呼び起こす手段になっているわけですね。授業以外でも、学校の出来事などを保護者の方に公開しているというお話ですけれども。
上杉: 保護者専用の会員制webサイト「尚学グローバルネット」でニュースや行事などさまざまな学校情報を毎日何らかの形で更新して配信しています
4.先生方へのアドバイス
影戸: 先生、生徒、保護者が一体となってIT活用が進んでいるという感じですね。
影戸: 最後にITを活用した授業についてアドバイスをお願いします。
上杉: 教員というのは常に前向きに、いろんなことにチャレンジしていくことが必要だと思います。IT使ったら、ひょっとして今までと違うことができるかもしれないなという好奇心をもって、さまざまなことにチャレンジしてほしいですね。チャレンジすることによって上手な使い方が見つかり、自分なりのスタイルが必ず生まれてくると思います。
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影戸: 本日は遠いところありがとうございました。
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