具体的な実践事例
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  高等学校 国語総合 山梨県立谷村工業高等学校 坂本洋子
IT活用のポイント
授業場所 □普通教室 ■コンピュータ教室 □特別教室 □体育館
□運動場 □屋外 □その他〔 〕
授業形態 □一斉学習 ■グループ学習 ■個別学習 □補習 □その他〔 〕
ITを活用する場面 □導入 ■展開 ■まとめ □その他〔 〕
ITを主に活用する者 ■教員 ■学習者 □その他〔 〕
ITを活用する目的 □課題の提示 ■動機付け □教員の説明資料 □学習者の説明資料 □繰り返しによる定着 □モデルの提示 □失敗例の提示 □体験の想起 ■比較 □振り返り □体験の代行 ■その他〔意見交流〕
活用するIT ■コンピュータ □プロジェクタ □スクリーン □電子ホワイトボード □実物投影機 □デジタルカメラ □ビデオ ■インターネット □デジタルコンテンツ □CD-ROM □スピーカー □その他〔 〕

セールスポイント
読解教材等のまとめ学習において,ネット上の掲示板に各自が読後の鑑賞文を投稿し合うことで,リアルタイムに双方向的な意見交流が行える点。

単元名
「小説を読む」
インターネットを活用した『山月記』の調べ学習と意見交流

学習指導要領との対応:
内容 C 読むこと
文章に描かれた人物,情景,心情などを表現に即して味わうこと。

指導目標
(1) 自己の願望に執着して虎と化した主人公の性格や生き方について考えさせ,人としての生き方,人間性について考えさせる。
(2) 作品の主題を自己の問題として考え深めたものを,インターネットのWeb掲示板を活用して意見交流を行い,自分の意見の形成に役立て,併せて,お互いの意見を尊重する態度を養う。
(3) インターネットの検索エンジンを活用して語句の意味や作者について調べさせ,Web掲示板を活用して検索結果を共有する。

指導計画
〈第1時限〉
(1) 作者中島敦の経歴紹介。
(2) 全文朗読。各段落の大まかな内容確認。
(3) 設問を通して第一段落の内容を分析し,李徴の性格と発狂に至るまでの経緯を確認させる。
〈第2時限〉
(1) インターネットの検索エンジンを活用して作者及び語句の意味について調べさせる。(あらかじめワークシート(1)を配布。調べものは分担作業とし,各自検索結果をWeb掲示板に書き込む。生徒はWeb掲示板を閲覧しながらワークシートを完成させる。)
ビデオクリップサムネール1
ビデオ300k ビデオ150k
(2) 第二段落の内容を分析する。李徴と旧友との出会いについての確認。
〈第3時限〉
第三段落の内容を分析し,告白内容の読解を深める。
(1) 虎に変身していく過程を確認させる。
(2) 虎への変身が不条理な運命によると語った李徴の心の葛藤を考えさせる。
〈第4時限〉
第四・五段落の内容を分析する。
(1) 詩人への強い執着心や,李徴の詩に対する袁慘の評価について考えさせる。
(2) 告白内容の変化(悲劇的な運命は自己の性情がもたらしたもの)について注意させる。
(3) 「臆病な自尊心」「尊大な羞恥心」という逆説的表現から,李徴の心理の屈折について考えさせる。
〈第5時限〉
第五・六段落の内容を分析する。
(1) 李徴の悲劇的結末を外的要因と内的要因との両面から考察させる。
(2) 李徴の自己分析→内省という主題にかかわるところを丁寧に考えさせる。
(3) 李徴の妻子に対する気持ちをとらえさせる。
〈第6時限〉
第七段落を分析し,全体をまとめる。
(1) 時間の推移が表す悲劇の効果をとらえさせる。
(2) 「李徴が人間として欠けていたものは?」「なぜ虎になってしまったのか?」「李徴の生き方について自分はどう考えるか?」など主題にかかわる発問を通して「人間としての生き方」について考えを深めさせる。また,作品の学習を通して,自己を内省することを促す。(ワークシート(2)を配布する)
〈第7時限〉
前時にワークシートにまとめた各自の考えをWeb掲示板に投稿させる。
(1)
クラスメート一人一人の考えをWeb掲示板を通して発表し合い,参考にし合うことで各自の作品鑑賞を深めさせる。
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指導上の留意点
(1) 調べる学習について
 
a. インターネット上にいくつかある検索エンジンの中で,gooのWebページから「国語辞典」のページを活用する。(このWebページは無料で「大辞林」の全文が調べられるものである。)生徒が迷わぬようあらかじめURLを指示しておく。ここで各自分担した語句を検索し,結果をWeb掲示板に書き込む。Web掲示板を閲覧しながらワークシートを完成させる。ここでWeb掲示板を活用するメリットは仕事が効率化されることである。
b. 「山月記」についてのWebページは様々あり,授業で活用できるものとそうでないものがあるので,授業で活用する場合はあらかじめすべてを閲覧しておき,生徒には勧めるサイト名を簡単な内容説明を付けて紹介するのがよい。
(2) Web掲示板の活用について
 
a. Web掲示板はレンタルのものだと簡単に作成できる。画面の一部に広告が入るが,無料で開設できるサイトもある。
b. 事前指導としてWeb掲示板を使用するにあたってのマナーと書き込み手順についてはプリントして説明しておくのがよい。
c. Web掲示板に掲載された記事は不特定多数の人が閲覧できるので,生徒個人のプライバシーを保護する意味で,投稿時の記名方法には配慮が必要となる。
d. Web掲示板を活用した投稿のよさは,より多くの意見がリアルタイムで見られるということと,文章化された資料が残るということ,更にインタラクティブに意見交流ができることである。また,自分のペースで作業を進められることもよい点である。口頭での意見発表などのように会話によるコミュニケーションはあまり望めないが,携帯電話でメール交換に慣れている生徒にとって,心の内を表現する手段としては抵抗が少ないようである。
  今回は,他人の考えを自分の考えの形成に有機的につなげていくという目標を掲げたので,その姿勢や時間を大切にし,お互いの考えを尊重し合う態度を養わせたいと考えている。そのためには,国語科においては,コンピュータをはじめとするITの活用も,国語科としての言葉の力をつけるという指導のねらいに即して,最も効果があがるような場面で,その内容,方法などを設定していくことが大切になる。

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