具体的な実践事例
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  京都市立呉竹養護学校 相談・支援部 松田実・鎌田由香里

授業場所 □普通教室 □コンピュータ教室 □特別教室 □体育館
□運動場 □屋外 ■その他〔ノート型コンピュータであればどこでもできる。〕
授業形態 □一斉学習 □グループ学習 ■個別学習 □補習 ■その他〔個別に限っているわけではない〕
ITを活用する場面 □導入 □展開 □まとめ ■その他〔児童生徒の意思表示・選択・コミュニケーションの手段として活用しているので,いずれの場面でも使用可能〕
ITを主に活用する者 □教員 ■学習者 □その他〔 〕
ITを活用する目的 □課題の提示 ■動機付け □教員の説明資料 □学習者の説明資料 □繰り返しによる定着 □モデルの提示 □失敗例の提示 □体験の想起 □比較 □振り返り □体験の代行 ■その他〔児童生徒の意思表示・選択・コミュニケーションの手段として活用〕
活用するIT ■コンピュータ □プロジェクタ □スクリーン □電子ホワイトボード □実物投影機 □デジタルカメラ □ビデオ □インターネット □デジタルコンテンツ □CD-ROM □スピーカー □その他〔 〕

セールスポイント
オートスキャンできるオンスクリーンキーボードとフットスイッチを用いて意思を自分から表出することによって,授業により能動的に参加することができる。


肢体不自由がある生徒のコンピュータを活用したコミュニケーション

肢体不自由がある生徒の場合,コミュニケーション意欲や学習意欲は旺盛であっても,自分から思いを伝えたり,答えたりすることが難しく,指導者から問われて受身的にYes/Noで答える場面が多くなりがちである。コンピュータ等の機器を活用することで,やりたい事を自分から選択し,自分からメッセージを発信しやすくすることができると考えられる。ここでは,一人の四肢麻痺の児童にわずかな運動能力を活用してコンピュータ操作し,コミュニケーション意欲を引き出せた事例を報告する。

【指導前の状況と目標】
A君は,養護学校中学部2年に在籍,脳性マヒ(アテトーゼ型)のため,四肢に麻痺や不随意運動があり,音声や文字を使ってのコミュニケーションは難しかったが,日常会話は理解できており,表情や声,体の動きでYes/Noの応答ができた。しかし,コミュニケーションが受身的で,限定的にならざるをえなかった。そこで,コンピュータを日常的に活用することで,コミュニケーションの方法の幅を広げ,より能動的なコミュニケーションが展開できると考えた。

【コンピュータ操作に活用する能力の評価と特殊入力装置の選択】
キーボードやマウスの操作は困難であったが,写真1のように足でスイッチを押すことが出来た。そこで,写真2のように,コンピュータ上にオンスクリーンキーボードを表示し,キーの上を自動移動するのカーソルをスイッチにより選択し(オートスキャン入力法と呼ばれる),コンピュータ操作できるようにした。スキャンの間隔は2秒に設定した。A君は文字の理解が出来なかったため,PCSと呼ばれるコミュニケーションシンボルを利用したキーボードを作成した。このシンボルキーを選ぶとそのシンボルに対応したメッセージが音声で流れるようになっていた。
写真1 スイッチの操作の画像 写真2 オンスクリーンキーボードの画像
写真1 スイッチの操作 写真2 オンスクリーンキーボード

【指導経過】
最初は,3×2の6個のキーからスタートし,次第にキーの数を増やしていった。また,操作能力の向上に合わせて,キーから他のキーへのリンクも取り入れ,より多くのキーの中からメッセージを選べるようにしていった。その結果,オートスキャン入力法でキーボードを操作することを理解し,的確に自らの発信で意思を指導者に伝えることが出来るようになった。さらに8つのメッセージが入る携帯用音声コミュニケーションエイドを用いて,散策に行きたい場所を自分から選んで散策をすることも出来た。また,朝の会の司会などもこのシステムを用いて自分で進められるようになった。

【まとめ】
A君は,問われて答えるだけでなく,自分からメッセージを選択して発することができるようになり,それが指導者に通じた時はとても満足そうな表情をしていた。本人の能動的な学習活動を支える上でコンピュータは大きな役割を果たすと考える。
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