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  4. ICT環境の活用に関する調査

学校関係

2.2  .1.1.1  ICT環境整備等の実態

(1)ICT環境等整備の充実度

今回の調査対象校の小中学校の平均クラス数は12である。それらの普通教室に、コンピュータは平均して4.6台しか設置されていない。プロジェクタは0.5台、実物投影機で0.6台、デジタルカメラについては1.3台という数値が示された。特にプロジェクタと実物投影機については、それぞれ学校に1台未満という状況であり、整備の遅れが目立つ。

普通教室でインターネット接続できない学校も47.9%と半分を占め、教室でのインターネットを使った授業の普及に支障をきたしていることが推測される。(図1)

アプリケーションについては、コンピュータ教室に導入されているものが、普通教室や特別教室には導入されていないという結果が出た。これも、普通教室におけるICT活用の阻害要因となっているように思われる。

(2)ICT環境等の運用管理

コンピュータや周辺機器、サーバなどの保守については、41.2%の学校で何らかの形で委託するなど、学校のコンピュータに保守が必要であるという意識が高ま ってはいる。しかしそれはまだ、十分なものとは言えない。こうした問題は目に見えにくいものであり、その重要性が共通理解されにくい。それゆえ、必要な経費が用意されず、やむなく教員が担当するという状況が生まれていると思われる。様々な情報流出の事件等をかんがみるに、この点の改善は、緊急の課題であろう。(図2)

(3)ICT環境の稼働状況

週に10時間以上コンピュータ教室を利用している学校が27.4%となっているが、普通教室でのコンピュータ利用となると、10時間以上利用している学校は、わずか1%程度である。これは、普通教室におけるICT活用がほとんど進んでいないことを表している。(図3)

2.2  .1.1.2  ICT環境活用

(1)授業におけるICT活用の実態

この設問は、授業でICTを活用しているかをたずねたものである。 その回答を整理してみると、学期に数回程度の頻度でそうした授業が行われている学校が最も多い(教師が利用する45.3%、子どもが利用する32.1%)。それらの活用シーンは、次第に増えている。(図4)

(2)授業におけるICT活用を充実させる工夫

普通教室の場合、ICT活用を充実させるために教員が利用場面や利用方法等を工夫しているという小中学校が32.9%。しかしながら、工夫のない学校も67.7%あり、問題視されよう。

(3)授業におけるICT活用の障害

機器の台数不足が「授業におけるICT活用の障害」にあてはまるかどうかをたずねてみると、その割合は74.9%となった。かなりの学校にこれが該当することが明らかになった。ICT活用の具体的なイメージが分からないという点も、これに該当するという回答が52.2%と、半分以上を占めた。環境の整備と授業での具体的活用のサポートが足りていない現実が見えてきた。(図5)

(4)情報教育実践への取り組み

情報教育のカリキュラムについては、各教科における推進を意識している学校が41.1%、そうでない学校が58.9%と、半分に分かれた形であった。これは、情報教育実践に関する意識の学校間格差を物語っている。(図6)

(5)ICT活用に関連した校内研修

ICT活用に関連した校内研修については、基本的なコンピュータスキルを内容とするものを中心として年に1回以上行っている学校が66.8%を占めた。(図7)しかし、情報活用能力の育成そのものを目指した授業研究会などを校内研修で実施していない学校が63.6%にのぼり、これが半分以上の学校で行われていないことが分かった。(図8)また(3)で述べたように、ICTを使った具体的イメージの持てない教師が多くいることを考えると、このような類の研修を積極的に企画・運営することが大切であるということがわかる。

(6)地域や学校の特色を活かしたICT活用の取組み

学校インターネット事業などが盛んに行われていた時期に比べると、学校の特色を活かしたICT活用を推進する学校は、極めて限られている。例えば、日常的に学校間交流(同校種)を行っている小中学校は1.6%にすぎない。

2.2  .1.1.3  教員の意識調査

(1)授業におけるICT教育が進まない理由

授業におけるICT教育が進まない理由に「準備に時間がかかりすぎる」が該当するという回答が、82.2%にもなった。これは、コンピュータ等の台数が少ないためにそれらを教室に常設できず、持ち運んできてセッティングするのは、授業の準備に手間をかけることになると感じている教師が少なくないことを意味しているのではないだろうか。(図9)

(2)ICT環境整備への期待

特にICT整備のための予算の増額を求める回答が88.5%を占めた。地方交付税措置により学校現場にはICT関係予算がそれなりに準備されているにもかかわらず、現実には現場のニーズを満たすものにはなっていないことが明らかになった。(図10)

(3)ICT活用の支援・サービスへの要望

ハード面はもちろん、授業に利用できるコンテンツの充実を求める回答が87.4%を占めた。ツール類はそろっていてもコンテンツとしてのソフトウエアが不足している現実を示すものであろう。

さらに、ICT活用のための加配教員等の措置に関する希望も86.4%を占めた。これまで述べてきたような「予算」「物品」、そしてこの回答にあるような「人材」の必要性を、学校現場は感じていると言える。<図11>

(4)教室のICT環境などの将来像(次世代モデル)への期待

特に授業の際に必要な資料がすぐに取り出せるという環境を90.5%の人が望んでいる。(図12)他方、子ども一人一人がコンピュータを持つということについては、「期待している」=67.4%、「期待していない」=32.5%と回答が分かれた。教師たちが抱く、授業におけるICT活用の展望は、自らの活用と子どもたちの活用との間でギャップがあるものとなっている。(図13)

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