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学校関係

2.2  .1.2  情報担当者に関する調査

(a)学校におけるICT活用の推進のための情報担当者の必要性について

上記の質問に対して情報担当者は「とても必要」「ある程度必要」と答えた学校は97.8%にのぼるが、実際にその担当者の役職を聞くと管理職・教務主任・学年主任・教科主任ではない教諭がついている場合が45.5%であった。また、情報担当者の62.9%が担当になって3年未満であった。

これは、学校には様々な校務(生徒指導・研究主任・体育主任など)がありICT活用の必要性は感じながらも校務の優先順位は非常に低いことがわかる。学年主任以上の役職でなければ校内において影響力を発揮しながら推進することは実際上なかなか難しいものがある。そのため、この結果はICT活用の必要性は感じながらも校務における実際の優先順位は低いものであることが明らかになった。(図14)

(b)校内の情報担当者のICTに関する能力と経験について

情報担当者のこれまでの経歴を聞いたところ、「ICT活用や情報活用能力の育成に関する実践の経験がある」と答えた教員は48.6%にすぎず、「以前の学校でも情報担当者であった」と答えた教員は53.0%であった。この結果から、情報担当という校務分掌は新しいものではないにもかかわらず、約半数の情報担当者が初めて担当になったり、これまでICT活用の経験がない教員が半数を占めていたりする現状が見えてきた。(図15)

情報担当者のこれまでの経験として、教育委員会での情報教育の担当経験があったり、内地留学の経験があったりした場合とそうでない場合の学校でのICT活用の差を分析してみた。「普通教室での利用主体・利用場面・利用方法など活用の多様性に留意していますか」という質問に対して、「教育委員会での情報教育担当経験あり」の場合、60%の教員が「あてはまる」と答えている。「内地留学経験者」の場合は49%が「あてはまる」と答えている。それに対して「これらの経験がない」場合、約30%しか「あてはまる」と答えていなかった。

この結果から、情報担当者については、短期的なICT研修ではなく、内地留学のようにじっくり研修に取り組む機会が与えられれば、校内のICT活用が促進されるのではないかと期待される。

(c)校内の情報担当者の役割について

情報担当者の役割は非常に多岐にわたる。ICT機器のトラブル対応が1番多く71.3%であった。情報担当者が授業中でも他の先生がICT機器のトラブルがあってもその対応に駆けつけることがあるということもよく聞く。また、専門性が必要なネットワークの維持管理を行っている教員も50%を越えている。さらには、校内研修の企画立案を60%以上の教員が行っている。しかし、予算の執行には23.5%しか関わっておらず、権限はないが仕事量が多いことがよくわかる。

専門性が必要なネットワークの維持管理を50%の教員が行っているが、教育の情報化に関連する資格を持っている教員は全体の0.9%しかいなかった。

以上のことから、情報担当者はICTのスキルが低い割には、ICT機器のトラブル対応から研修計画立案まで、多岐にわたる業務内容を担当していることが明らかになった。(図16)

(d)管理職の学校の情報化への意識

管理職の学校の情報化への意識として「学校の情報化に対する教職員の意識を高めていますか」という問いに対して「強くそう思う」22.8%「ある程度そう思う」64.2%であった。また、「教育の情報化の意義や動向を理解している」という問いに対して「強くそう思う」22.8%「ある程度そう思う」68.0%であった。

この結果から、現在の管理職の意識としては、ICT活用の必要性はある程度感じているものの、積極的に取り組もうとしている学校は2割程度であることがわかった。

(e)校内情報担当者の調査結果から

以上の調査結果をまとめると次のようになる。

  • 情報担当という役割の必要性はある程度認識している
  • 情報担当という役割は学校での校務における優先順位は低い
  • 情報担当という役割はICT機器トラブル対応から研修計画立案まで多岐にわたる業務を担う
  • 情報担当は内地留学経験や教育の情報化に関する資格を持っているものは非常に少ない
  • 内地留学等研修を積んだ情報担当者がいる学校ではICT活用が進んでいる
  • 管理職は、ICT活用の必要性はある程度認識しているが必ずしも積極的に推進していない。

このことから、学校における情報担当者に対しては、司書教諭のように資格として認定して計画的に配置するなどの対応が考えられる。司書教諭の資格取得については、長期の研修が科せられており、情報担当者に対しても司書教諭と同じように必要なスキルを十分身につけさせるための研修が必要であると考えられる。また、校内人事によって情報教育担当を配置するのではなく、教育委員会により計画的に配置する必要性があると思われる。

また、管理職にあっては、学校における情報教育並びにICT活用の重要性を認識し、ビジョンを持って積極的に取り組むための研修が必要である。また、学校運営上必要な情報担当者の配置を別枠で設けることで円滑な情報教育並びにICT活用の推進が図れるのではないかと考える。さらに、情報担当者の資格として既存の教育の情報化に関連する資格制度を上手に活用することも大切である。

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