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4.1.3  将来像への反映の観点

まず、2001年にインフラ整備が完了していること、その後、2006年までの5年間でICT活用の普及を進めてきたという経過に着目すべきである。日本がまず行わなければならないことは、普及ではなくインフラ整備、すなわち普通教室の情報環境整備である。国策に基づき、市道教育庁がそれを具体化するという仕組みは、日本の教育行政の在り方に近い。都道府県レベルで教育CIOの配置、インフラ整備、校務情報処理システムの管理・運用、コンテンツの開発と蓄積、教員研修等を推進する必要がある。

そのためには、国の方針に基づきシステム、コンテンツ、研修カリキュラム等の研究開発を担う韓国教育学術情報院(KERIS)のような機関が不可欠となる。研究者や技術者だけでなく教員経験者をスタッフに多く含み、学校現場の実態を踏まえ、教育情報化を支える実用的な研究開発を継続的に行う機関、組織が求められる。

韓国の教室環境は、日本の教室とよく似ている。今回訪問した学校では、プロジェクタは少なく、リアプロジェクションテレビが黒板の横に設置されているケースが多かった。黒板の面積を変えないという前提であれば、大型テレビのような提示装置を設置するのは一つの選択肢である。

1人1台のコンピュータに関しては、韓国においても研究段階であり、1クラス分のコンピュータを共有していた。現時点では、電源の確保や無線LANへのアクセス等、技術的な問題があるが、新しい学習形態の一つとして、1人1台のコンピュータを普通教室で活用する授業方法の実践研究を進めておくべきである。

コンテンツ開発は、KERIS、市道教育庁に加え、教師の自作教材の開発も促されている。課題は、コンテンツの質を高めることであり、教師が指導に効果的なコンテンツを探し出す手間を省き、容易に使えるようにすることである。普及という側面から考えると、教科書に準拠したコンテンツの開発と提供が日本では不可欠になる。

管理職への昇任の際にICT利活用に関する試験を課すことについては、日本の管理職のICTに対する意識が低い現状を改善するためにぜひ取り入れたい。教材開発コンテストやICT能力判定試験での成績が教師のインセンティブになっている点についても、検討すべきである。

サイバー家庭学習(CHLS)等のe-Learningについては、具体的な内容に踏み込んだ調査ができなかった。しかしながら、学習の個別化、学校での学習と家庭での学習をつなぐこと、いつでもどこでも学ぶことができる学習環境の実現といった観点から国や県のレベルで、e-Learningシステムの開発、運用を行い、無償で提供することについては、検討すべき課題である。

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