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2.3.3 学校や教育委員会の情報担当者
学校におけるICT活用促進のためには情報担当者の組織化が必要だと考える学校が大半であるにもかかわらず、それを遂行する能力・経験を有した人材が学校組織に位置づけられていない(そうした人材が確保されていない)。このような人材の配置とICT環境の活用については、両者の間にある程度の相関関係確認できる。
例えば、「子どもに、ICTを用いて自らの思考や判断を仲間に効果的に表現させている」に対して、1)1週間に1回以上取り組んでいる、2)学期に数回程度は取り組んでいる、3)1年に1回程度なら取り組んでいる、4)まったく取り組んでいないという4つの選択肢に対して、「ICT技術全般に及ぶスキルを持っている」人材が配置されている中学校の場合は、それぞれが全回答に占める割合が3.7%、30.2%、22.3%、43.8%であるのに対して、そうでない場合は、1.8%、19.6%、24.2%、54.3%となっている。(図37)
情報担当者の能力として特に問題があると思われているのは、予算管理と教育委員会への提案等であった。そして、それらは、現実においても、役割として果たされていないという回答が多かった。また、管理職が学校の情報化に理解を示すとICT環境の整備や活用が進展するという結果も得られたが、それを促す働きかけを行える能力を有した情報担当者も、そう多くはない。
教育委員会、教育センターに関しては、情報担当者が不在のケースが半数を超えており、問題であり、整備の進展が進まない要因となっている。
例えば、教育委員会に情報担当者が置かれている場合には、普通教室に各2台のコンピュータを置いている、ないしはそれを計画している割合が45%を超えるのに対して、情報担当者が置かれていない場合は,その割合が30%未満に下がる。教育センターへの情報担当者の設置についても、同様の結果が得られた。すなわち、そうした人材が置かれている場合は普通教室へのコンピュータの設置割合が50%弱であるが、置かれていない場合は、それが30%強にまで下がる。(図38)
このような傾向は、整備計画の有無についても同様であった(情報担当者を置いている場合は、そうでない場合に比して、ICT環境整備計画を策定している、ないしは策定する予定があると回答する割合が高い)。 教育委員会や教育センターにおける情報担当者の存在は、ICT環境整備の現状だけでなく、将来的にも影響することが予想される。
以上のアンケート結果から、学校の情報化を担う人材の確実な配置は、緊急の課題であることが再確認された。これを実現するためには、例えば、学校や地域の状況に応じて学校の情報化を担う「情報主任」(学校)、情報主事(教育委員会)などの制度化や資格化などについても検討が必要であろう。