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5.1.3 2010年までに急ぎ取り組まなければならないこと
IT新改革戦略では、学校におけるICT環境の整備について、「2010年度までに全ての公立小中高等学校等の教員に一人1台のコンピュータを配備し、学校と家庭や教育委員会との情報交換の手段としてのITの効果的な活用その他様々な校務のIT化を積極的に推進する。」「校内LANや普通教室のコンピュータ等のIT環境整備について早急に計画を作成し、実施するとともに、学校における光ファイバによる超高速インターネット接続等を実現する。」「小中高等学校等において情報システム担当外部専門家(学校CIO)の設置を推進し、2008年度までに各学校においてIT環境整備計画を作成するなど、IT化のサポートを強化する。」ことが示されている。また、授業での活用について、「2006年度までにITを活用した分かりやすい授業方法や、児童生徒の習熟度に応じた効果的な自習用コンテンツの開発・活用の推進等により、教科指導における学力の向上等のためのITを活用した教育を充実させる。」と書かれている。
さらに、IT新改革戦略重点計画−2006においては、「2010年度までに教育用PC1台あたり児童・生徒3.6人の割合を達成するとともに、液晶プロジェクタ等の周辺機器の整備を促進する。」ことが明記された。
これらを実現させることが目標になることは言うまでもないが、最も重要な点は、教科指導における学力向上等のために日常的にICTを活用した授業を実施することであり、そのために普通教室におけるICT環境を全国のどの教室にも整備することである。これまでの調査結果から、プロジェクタ、ノートパソコン、実物投影機、無線LANの導入をベースに(下図参照)、地域や学校の特色に応じて、大型ディスプレイや電子情報ボード、タブレットPC等との入れ替え、あるいは追加を検討することが望ましいだろう。
配慮すべき点としては、教員が設置や配線などの負担なく活用できるように設置することであり、また、2011年の地上デジタルテレビ放送への移行にも対応可能なシステム構成にすることである。そして、特に導入初期の段階では、活用の促進を図るために教科書に準拠したデジタルコンテンツを活用できるようにすることが不可欠である。
平成19年度「学校の教育情報化に係る地方財政措置」に新たに盛り込まれた「クラス用コンピュータ」も導入する必要がある。これは、普通教室等においても児童生徒一人1台で利用できるノート型のコンピュータのことであり、必要に応じて移動して活用するものである。普通教室においては、電源の確保やネットワークの配線が難しいことから、バッテリー駆動、無線LAN接続が前提となる。1クラス分のノートパソコンの管理・運用は、例えば、充電可能な可動式収納庫の活用や、第二コンピュータ教室を設置し、必要に応じて移動して活用するなどの工夫が考えられる。また、ノート型コンピュータの他、タブレットPC,PDA等の導入についても考えられる。これらについても、できるだけ早い段階で導入し、特にグループ学習や個別学習での効果的な活用方法について、実践研究を積み重ねる必要がある。
周辺機器としては、デジタルカメラの活用場面が多いと考えられることから、各学年に複数学級分の台数を用意することが望ましいだろう。
特別教室については、教科の学習に必要な周辺機器を含めた環境整備が求められる。例えば、理科では各種センサーやA/Dコンバータ、音楽科ではMIDIキーボード、美術科ではタブレットや大判プリンタ等である。中学校、高等学校においては、教科センター方式に移行し、教科ごとに必要なコンピュータ、周辺機器を整備した教室や、教科の特性に合わせたコンピュータ教室を設置することを検討すべきである。
この他、学校図書館への図書管理システムの導入や地域図書館とのネットワーク化、情報検索等のためのコンピュータ設置による学習情報センター化、コンピュータ教室との融合によるメディアセンター化も視野に入れる必要がある。