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  4. 教育CIOを核とした教育情報化支援の状況

4.3.3  教育CIOを核とした教育情報化支援の状況

どの地域も教育用コンテンツの作成に熱心である。各学区で独自に教育番組を作成し、それを地元のケーブルテレビの専用チャンネルで放送している。VAの学区では1日に3本の番組を制作していた。これらの番組はVODとして、教育委員会のWebページから、ネットワーク経由でも視聴可能である。教えるためのメディアとしての教育番組制作と、これらを利用した地域への説明の役目も果たしている。教員への授業支援として番組作成、ストリーミングコンテンツを授業で容易に利用するためのファイル化とファイルサーバへの蓄積サービスなどにも、どの学区も力を入れていた。

E-Learningの導入にも積極的である。児童・生徒の学習用はもちろんであるが、このシステムには親も登録が可能となっている。これを通して、親の学校での教育参加につなげていることも印象的である。親は、自分の子どもの学習状況や、宿題の実施の様子などを知ることができる。同様に、カリキュラム、シラバスのオンライン化も地域や親への情報提供として有効に機能している。教員はシラバスなどを事前に用意するだけでなく、毎日の授業の概要や、使用した教材などをE-Learningシステム上に毎日、授業後登録することが義務づけられている。教材などの多くがデジタル化されているため、教師はそれほど大きな負担には感じていないようであった。

ネットワーク基盤の整備も生涯学習を視野に入れた形で学校を中心として行われており、その運用管理も独自のスタッフで行っている。また、教員や児童・生徒の家庭からのアクセスも考え、VPNを利用した接続を行わせるなど、セキュリティへの配慮も十分に行われていた。

学校への情報化支援人材の配置は、現在中学校以上において行われているところが多い。中学校以上には学校規模に応じて複数名を配置している場合もある。小学校は現在特に配置をしていない。しかしながら、勤務時間中にコンピュータの操作等でわからないことがあると、すぐに聞くことができるヘルプデスクが学区で用意されており、8~10名程度のスタッフが常駐し、対応に当たっている。学校に導入されているコンピュータにはリモートで接続することが可能であり、場合によっては遠隔操作で設定変更や操作指導を行っている。

授業での活用などの教員研修は、学校ベースで実施されている。MDの小学校では、各学校の副校長(教頭)のポジションに、教員研修担当責任者が配置されている。その人を中心に、学校の教員研修は進められており、その中に、ICTの活用も含められている。

テレビ会議システムを利用した遠隔授業も積極的に行われている。FLの学区では、すべての学校にテレビ会議システムが設置されている。学区内の学校間だけでなく、他のところとの接続もサポートされており、多様な活用が実施されていた。また、携帯用のシステムも用意されており、テレビ会議システムの装置一式をトランクに詰め、校区内の様々な場所から中継も行うことができるようになっている。このシステムは災害時の緊急通信、中継システムとしても利用されている。

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